2018年06月04日(月)
先週行われた春のマイル王決定戦、第68回安田記念は、単勝9番人気の伏兵モズアスコットが勝利。
平成元年のバンブーメモリー以来、29年ぶりとなる連闘策での勝利というのも、多くの競馬ファンの皆様を驚かせたのではないでしょうか。
本馬を管理する矢作調教師の、レース後の共同会見でのコメントは下記の通り。
「先週(レースの前週)の追い切りが終わった時点で、通常ならその週末の日曜、その次の水曜と追い切って安田記念に使うのですが、それだけだと状態を上げきれないと思いました。ですので、連闘したからこそ安田記念を勝てたんじゃないかなと思っています。それに、今回の勝利でウチの厩舎スタッフの優秀さを伝えることができて嬉しいですね」
まさに常識破りの戦略でビッグタイトルを制した手腕、またその「厩舎力」には脱帽するばかりです。
これまでの常識や型にこだわらず、独自の理論や調整法で確固たる実績を創造する。
そんな思想は、今現在の競馬会のスタンダートになりつつあると言えるかも知れません。
厩舎開業から僅か3年余りで、今や全国リーディングトレーナーランキングのトップを争う中内田充正調教師は、まさにそんな新時代の日本競馬会を担うであろうカリスマ。
先週の競馬開催では、出走馬4頭全てが3着以内に好走。
2018年度の連対率.330、複勝率.457は、全国リーディングトレーナーランキング首位を走る藤原英昭厩舎に次ぐ驚異の戦績。
今現在の中央競馬会において、最も勢いに乗る厩舎と言っても差し支えはありません。
それではなぜ、開業から間もない中内田充正厩舎が、これほどまでの快進撃を魅せているのか。
これを紐解く鍵は、中内田充正師当人の異色のキャリア、そのバックボーンに隠されています。
すでに多数のメディアにも取り上げられていますが、中内田充正師は、高校時代に競馬を探求する目的の元、アイルランドの高校に編入。その後は、イギリスのウエストオックスフォード大学に入学し、卒業後は英国、愛国、米国と海外の競馬会を渡り歩いたまさに異色のキャリアの持ち主。
今日の活躍の原動力は、このバックボーンがあるからに他なりません。
大学卒業後は、英愛リーディングを5回獲得しているイギリスのリチャード・ハノン調教師の元に席を置くことになった同氏は、そこでの学びを今でも重宝しているとのこと。
「特に違うなというのは、調教やレースの使い方が厳しい。とにかく鍛えて鍛えて、2歳馬でも連闘で4、5回ポンポンっと使ったりしてましたよ」
この言葉は、某インタビュアーの「日本の競馬との違いは?」という問いに対する回答。
この返答には、日本の競馬界では常識であっても、必ずしもそれが世界の競馬界の常識ではないことが集約されています。
ヨーロッパ競馬を学んだ後、単身で渡った米国競馬界では、年間でG1レースを25勝するほどの超名門ロバート・フランケル厩舎に在籍することになった中内田師。
当時の管理馬の中には、あのエンパイアメーカーもいた、と言えば驚かれる競馬ファンの方も少なくはないでしょうか。
つまり同氏は、日本競馬界に参入する以前から、欧州、米国競馬の超一線級の厩舎のノウハウを、そして超一線級と呼ばれる競走馬の管理を経験していました。
今日の日本競馬界における活躍は、この異色のキャリアと経験値、バックボーンがあるからこそと言えるでしょうか。
先日の安田記念を連闘策で制した矢作厩舎のモズアスコットも、現在の日本競馬界の括りの中では「非常識」であっても、リチャード・ハノン調教師の理論の中では「常識」の範疇。
そういった意味で言えば、現在の中内田充正厩舎の快進撃、あるいはモズアスコットの勝利は、今日の日本競馬界の常識を根底の部分から覆す「新たな常識の幕開け」を意味する指標と言えるかも知れません。
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